2017年10月21日

手ぬぐいは「裏」を見ろ

いきなり「裏」という言葉が出ましたが、別に変な意味ではありませんよ。

お店で手ぬぐいを選ぶとき、もし裏側を見ている人を見かけたら、その人はかなりの通だと思われます。
裏面の具合で、その手ぬぐいがどんな技法で染められているか、だいたい分かるからです。

江戸時代は裏面も同じように染まっている手ぬぐいが「粋」とされたのですが、当時は柄を裏面まで通す技術がなかったため、型紙を反転して裏を染め重ねるという離れ業もあったとか(絶対にズレるので、ほとんど神業です)。
そこで明治に入って開発された技法が「注染」です。


【注染、または引染め】裏までしっかり染まっている

注染(ちゅうせん)とは主に手ぬぐいを染めるために使われる技法です。
前述の通り明治時代に開発された染色法ですが、昨今の手ぬぐいブームで再び脚光を浴びつつありますね。

生地を手ぬぐいの長さに折りたたみ、その間に防染糊(ぼうせんのり)を置いて染料が入らないようにして、上から染料を注いで、それをポンプで吸いつつ一気に何枚も染め上げるので、染料がはっきりと裏に抜けるのです。

またこれも伝統的な技法ですが、引染め(ひきぞめ)も裏面をしっかり染めることができる技法です。
生地に型もしくは筒を使って防染糊を置いて染料が入らないようにして、伸子(しんし)という道具を使って生地をぴんと張り、刷毛で染料を浸透させるため、やはり裏面が同じように染まるのです。
ただし注染と比較して大量生産には向かないため、手ぬぐい関しては注染がポピュラーであると思われます。
※画像がありませんので「引染め 伸子」で検索してみてください。

写真は注染で有名な「にじゆら」の手ぬぐいです。
裏も表も同じようにしっかり染まっています。
niziyura_omote.jpgniziyura_ura.jpg



【捺染】裏が少し白っぽい、ムラができている

捺染(なせん)手捺染とも呼ばれ、型紙を置いた上から、染料と糊を混ぜた色糊をヘラ(スキージー)で染める技法です。型紙の部分は防染されて色が入りません。
注染や引染とは逆の発想となります。
やはり糊なので、ある程度は生地に染み込むのですが、完全には裏まで浸透しません。したがって裏面はちょっと白っぽくムラのある仕上がりになります。

写真は京都の「SOUSOU 伊勢木綿」の手ぬぐいです。
やはり裏はほんの少し白っぽいですが、ここまで抜けていれば、さほど気になりません。
sousou_omote.jpgsousou_ura.jpg

また、最近は裏面も表と全く同じように染まっている手ぬぐいを見かけたこともありますが、捺染の経験者としては、一体どうやって完璧に裏抜けしているのが気になるところです。


【顔料プリント】裏がほとんど染まっていない

顔料プリントは「染める」というよりはインクを生地に乗せる感じになりますので、さらに裏抜けしない仕上がりになります。
裏面に関してはほとんど白と言って良いかも知れません。

写真は香川県の琴平電気鉄道、通称ことでんのマスコットキャラクター「ことちゃん」の手ぬぐいです。
裏面は見事に白く、一見して顔料プリントだとわかります。
(ことちゃんを悪く言ってる訳ではありませんよ。)
kotoden_omote.jpgkotoden_ura.jpg


以上、手ぬぐいの裏面を見れば染め方がわかるというブログ生地でした。
※注染、捺染、顔料プリント共にそれぞれの利点や欠点もあります。技法そのものに優劣をつける意図はございませんので、ご理解ください。
  
posted by ヤギ工房 at 12:09| 手ぬぐいについて